null

嗚呼スカラバ。



魔がさしたので、お気に入りの小説でも紹介していこうと思います。



『ハーモニー』 伊藤計劃



最も好きな小説を挙げろ、と言われたら迷わずこれ。ここ数年間、僕の中で最も色濃く君臨し続けている小説。
作者の伊藤計劃さんが創る世界観にどっぷり魅了されました。
ノイタミナでアニメ化するとか聞いた話はどうなってるんだろうか。


道徳、健康、優しさ、ボランティアetc...に支配された"ユートピア"で、他者も自分も慈しむことが当たり前の社会に反乱しようとした少女たちの物語です。


どれくらい"ユートピア"かというと、そうですね例えば、僕たちの社会ではドラッグなんかは禁止されてますよね。
同じように酒、タバコなどの嗜好品は禁止されてます、有害だから。
作中では、コーヒーなどのカフェインを含むものも問題視されていましたね、有害だから。
道行く他人の氏名、年齢、職業、健康状態、社会への貢献度なんかは"拡張現実"で見たい放題。
プライベートってなんですか?やましいことでもあるんですか?
あなたの命はあなただけのものではありません。全体の一部としてのリソースたる自分を自覚しましょう。
他人を思いやりましょう、同じくらい自分を思いやりましょう。これは当たり前のことです。
病気の治療や栄養管理はお任せください。あなたの体内にいる"WatchMe"や医療分子メディモルによる24時間監視体制によって、あなたの健康が脅かされることはありません。


簡単に言うとこんな感じ。
まさに「びっくりするほどユートピア!」なわけです。


しかし、ほとんど全ての人間はこの社会に順応しています。主人公ら3人の少女は数少ない例外でした。
彼女らは、成長期が終わりWatchMeを体内に入れられる前に、自分の体が自分だけのものであるうちに、「反乱」を起こそうとします。
「反乱」といっても武装蜂起ではありません。自殺です。それも餓死。
こんな"ユートピア"で、超監視福祉社会で、栄養失調になること自体があり得ない。
だからこそ、「自らの意思で餓死を選ぶこと」が、社会に対する「反乱」になる、と少女らは考えたんですね。
結果は……1人だけ成功、といっていいのかな?「反乱」の首謀者「ミァハ」は死に、主人公ら2人は生き延びました。


時は経ち、主人公たちは大人になります。
あのとき死ねなかった、社会に敗北した2人の前に、唯一の勝者である「ミァハ」の影が……





あらすじ説明終わり!


主人公の父親がカフェインの服用について説明を求められる生々しい描写は、"ユートピア"ここに極まれり、ですね。
本当に気持ち悪い。不愉快になります。(#^ω^)ピキピキってやつです。
ネタバレだけは絶対したくないので、あんまり詳しく触れられませんが、この作者の作品は「意識」が1つの大きなテーマであります。「意識」、「精神」、「魂」、「今ここにいる私」
"WatchMe"やメディモルがある限り、肉体は完全に監視、健康を保たれます。じゃあ精神は?
人が人として感じる、不安や怒りや哀しみは、それによって生まれる軋轢は、「この私」は、この調和のとれた超監視福祉社会とどう折り合いをつければいい?
結末がその回答です。まさにハーモニー。括目せよ、これがSFだ。


時系列的には、同作者の処女作である『虐殺器官』の後の世界です。
ただ、ストーリーとして繋がっているわけではないので、『ハーモニー』単品で楽しめます。(僕も『ハーモニー』から読みましたが全く問題ありませんでした)


作者の伊藤計劃さんは肺ガンで若くして亡くなっておられます。
この『ハーモニー』が遺作となりました(『屍者の帝国』は円城塔さんが引き継いで完成させました)が、もっと彼の作品を読みたかったなぁ。本当に残念です。






あと2冊くらい紹介するつもりだったけど、長くなったから次回でいいや。

カプレーゼからのえぅ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

その作家名、どっかで聞いたことがあったなと思ったら、SF好きな友人のアマチュア小説書きが以前ブログで紹介してたんでした。
その引き継いで完成させた話をブログに書いてました。

2方向からススメられるとちょっと気になって書店で探しそうになりますね。
積み本がちょいちょいあるので買うまではハードル高いんですけども。
覚えとくことにいたします。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

No title

映画もやるみたいですねー。
CM見たような。

私も『虐殺器官』、『ハーモニー』を読みましたが、少しだけ『スカイクロラ』を思い出しました。

Re: No title

>aiharaさん
ありがとうございます、ご友人の記事も覗かせてもらいました。
合作とはありますが、『屍者の帝国』で伊藤計劃さんが書いたのは冒頭部分だけなので、ご友人の方にかなり近い感想を持ちましたw
伊藤計劃の作品のはずが、すっかり円城搭の作品になっちゃってるんですよねw仕方のないことですけど。
ただ、

『虐殺器官』
『ハーモニー』
『The Indifference Engine』

などは十割、伊藤計劃さんの作品ですのでオススメです。

御存命だったならば、必ずやこれからのSF界を担っていく人物だったろうになぁ。


> その作家名、どっかで聞いたことがあったなと思ったら、SF好きな友人のアマチュア小説書きが以前ブログで紹介してたんでした。
> その引き継いで完成させた話をブログに書いてました。
>
> 2方向からススメられるとちょっと気になって書店で探しそうになりますね。
> 積み本がちょいちょいあるので買うまではハードル高いんですけども。
> 覚えとくことにいたします。

Re: No title

>フォノンさん
なんと、映画もでしたか!それは楽しみだなぁ~!
『スカイクロラ』も確か戦争を題材にしてましたね。
『The Indifference Engine』もオススメですよ!

> 映画もやるみたいですねー。
> CM見たような。
>
> 私も『虐殺器官』、『ハーモニー』を読みましたが、少しだけ『スカイクロラ』を思い出しました。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

No title

なんか懐かしい本だなと思ったらもう8年前ですか・・・。
時の流れは速いものです。(シミジミ

トミーさんの後2冊の紹介も楽しみにしてます。

映画は『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』の3つですね。
期待できそうな雰囲気ですよ。

伊藤計劃 Project Itoh

で検索検索♪

No title

知らない作家でしたが、熱心に紹介されてるので
今度探して読んでみる事にします。

最近は音ばかりで活字と戯れていないなぁとしみじみ

Re: No title

>流花さん
もう8年になるんですか!僕も歳をとったなぁ・・・
なるほど、映画は3本立てなんですね。ありがとうございます、さっそく検索してきます!

@2冊紹介し終えてからRO記事に戻りたいと思います!


> なんか懐かしい本だなと思ったらもう8年前ですか・・・。
> 時の流れは速いものです。(シミジミ
>
> トミーさんの後2冊の紹介も楽しみにしてます。
>
> 映画は『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』の3つですね。
> 期待できそうな雰囲気ですよ。
>
> 伊藤計劃 Project Itoh
>
> で検索検索♪

Re: No title

>バリさん
ぜひぜひ読んでみてください!もしくは映画の方でも!
僕は逆に音楽にあまり触れてないので、皆さんが紹介してくれて嬉しい限りですw


> 知らない作家でしたが、熱心に紹介されてるので
> 今度探して読んでみる事にします。
>
> 最近は音ばかりで活字と戯れていないなぁとしみじみ
sidetitleプロフィールsidetitle

トミー(うなぎ)

Author:トミー(うなぎ)
顔面クリムガンなうなぎ。
Lifでだらだらやってます。
当ブログはリンクフリーです。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle頂きものsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitle一応sidetitle
このページ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 c Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. c GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QR